真理ちゃんとの思い出で一番思い出す事といえば、やっぱり美味しいものを食べに
行っていた事でしょうか。会社の先輩や同僚四人で、「たまには豪華な食事に行こう!」
とちょっと上品な懐石料理を食べに行ったり、上司の方たちにお寿司やお肉を食べに
連れて行っていただいた事など、『食』に関する事が多いです。普段はお互い離れた
フロアにいましたから、彼女が私の席にやってきて「ちょっと、いい?」なんて声を
かけてくれた時は、「あっ、美味しいものの話だ!」ってピーンときたものです。
そんな食事の時でも、どちらかといえば彼女は自分のことを話すタイプではなかっ
たように思います。決して無口だったというわけではありません。ただあまりプライ
ベートな事を話さなかったような気がします。でも今から思えば、「もしかしてあの
時、本当は何か言いたかったんじゃないかな?」って思うような事もありました。
本当は真剣に話したいようなことでも、結局はいつものように冗談にしてしまってい
たような・・・。
こんなことになるならもっと早く気付いてあげればよかった、もっと上手に聞いてあ
げればよかった、彼女の写真を見ると時々そんな風に思います。
私の部屋には、真理ちゃんが海外に行った時にもらったお土産が置いてあります。
あの日、ちょうど事故があった頃、私は部屋でゆっくりしていたのですが、なぜかそ
の日に限って何を思うわけでもなく、そのお土産に目が留まり「いいなー、真理ちゃ
ん」と思っていました。翌日会社で事故の話を聞いてびっくりしたんですが、落ち着
いてから「あの時、思い出したのは虫の知らせだったのかも知れない」と思いました。
今もそのお土産を見ると、彼女のことを思い出します。そんな時思い出す彼女は、
「これ、おいしーね!」って言ってたときのように嬉しそうな顔をしています。
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