-----輝きの中で微笑みながら-----
●真理ちゃんへ
川島 ナナ
1975年
初舞台 5歳
 まだ大垣別院にレッスン場があった頃、幼児だった真理ちゃんがバレエのレッスンを始めました。クリッとした目とポチャとした手のひらが印象的な子どもでした。
 そのころは、大垣という土地にクラシック・バレエが馴染んでいなくて、私のスタジオも根が張るどころか、種を蒔いたばかりで、行く先どうなるか見当もつかず、若さに任せて、ただがむしゃらに踊って、教えて、創っていた毎日でした。レッスン場もしょっちゅう移動をして、駅前に落ち着くまでよくついてきてくれました。
 私は、生徒が足が痛いからトゥ・シューズを脱いでいいですかと訴えると、「あなたが思う通りにどうぞ」と答えます。
 ある日、レッスン中に小学生だった真理ちゃんのシューズに何かがついていることに気が付きましたが、変わることなくレッスンを続けました。多分舞台の前の特訓だったと思います。レッスンが終わってから本人に確かめると、マメが潰れて血がシューズの表面にまで滲み出ていたのです。少し心配になって「真理ちゃん、足、大丈夫?」と聞くと、返事はニコッと笑って「大丈夫です」
 私は、シューズのために足が痛いと 訴える子どもに今でも自信を持って、「あなたが思う通りにどうぞ」と答えています。

  私の妹がデザインしたコスチュームを 着て踊ったあなた。
  秀夫先生と一緒に大人の役に挑 戦した中学生のあなた。
  舞台が大好きだったあなた・・・。
  久し振りに会ったあなたは、長いまつげを伏せて、日本人形のように
  眠っていました。
  川島ナナバレエ研究所
滑り止めを塗って、さあ本番!
緊張の一瞬。1981年11歳(左)
1980年 小5 のとき 10歳