-----愛でし娘 真理へ-----
●あとがき
 この世に起ることは全て、「必要」「必然」かつ「ベスト」。
 苦しいこと、悲しいことも同様に、天がそこに何かを教えようとしている
のだと無理矢理にも理解し、それが何であるかを感じ、思い、行動を始める
事が道を開かせる。そんな思いが本書発刊に至った。スノーボード事故によ
り娘が二十六歳の人生を終結する、この受け入れがたき事実の前で呆然とす
る私たちに、真理が「諦」を教えてくれたと感じている。

 全文読ませていただいて、当初の思いをはるか超えて、完璧なまでに仕上
げていただいた。
 鷲見靖彦先生、藤巻高光先生、奥寺 敬先生、酒井秀樹先生とよくここまで
に理想的な先生方の協力が得られたものだ。相沢盛夫先生にはこの本の為に
写真を新たに撮影し、楽しいスノーボードを解説いただいた。
 厚く御礼申し上げます。
 鷲見先生には我が家までお参りいただき 最新の研究論文を仏前に捧げて
いただいた。修得者のジャンプ事故が増加する中で、初心者の死亡事故は減
少してきたという。先生方のご努力の結果であろう。一層研究を積み重ねら
れ、楽しさの反面、スノーボードが死の危険性をも内包しているスポーツで
あることを、今後も啓発していっていただけたらと願わずにはいられない。
 長野オリンピックで新たな競技種目として加えられたスノーボード。この
機にスノーボードをとりまく環境整備に目が向けられ、安全で楽しいスポー
ツとして、発展してほしいと心から祈っている。そして、本書がスノーボー
ド関係者や若きスノーボーダーたち、たとえ一握りの方にでも目をとめてい
ただき、僅かでもお役に立てたなら幸せである。
 
 (株)セイノー情報サービスの鈴木秀郎社長やお世話になった先輩、同僚
の皆様、そして川島ナナ先生から心温まるお言葉をいただいた。バレエが好
きで、良い職場に恵まれ、皆様のおかげで人生を豊かにさせていただいたこ
と、あらためて感謝したい。
 本書刊行にあたって、お世話になったお二人にもお礼申し上げます。 
 槌谷英一郎氏、山田信子さま、お力添えありがとうございました。
 重ねて皆様にお礼を申し上げ、結ばせていただきます。
 真理も天上であの大きな瞳をいっそうクリクリさせて、喜んでいるに違
 いない。
 やがて顎をちょっと上げて振り返ると、娘は私に言うことだろう。
   「ありがとう、お父さん。お父さんも頑張って!
    お父さんの役割は何なの?それに向かって進んでるの?」   
 「Vサイン」送りながら・・・・・・
      私たちからも言うよ。
   「ありがとう、真理」   
   
    平成九年十二月
                                        堀 冨士夫 記